フォー・リミテッド・サザビーズ主催による音楽フェス「YON FES 2024」が大成功に閉幕。さまざまなドラマが生まれた2日間は未来へつなぐバトンになった。




性別も世代もジャンルも飛び越え音楽で未来を切り開いていく

音楽好きのダッズ&キッズは今年はどの音楽フェスに参加されますか? フェスには好きな音楽を楽しむ以外にも、新しい音楽との出会いや新しい仲間との出会い、そして音楽が持つ目に見えない力を感じることができたりと、学校では学ぶことのできない、いろいろな出会いがある。まだ行ったことがないってファミリーはぜひとも重い腰を上げて、キッズと一緒に好きな音楽に体を任せてみましょう。今回は、フォーリミこと、フォー・リミテッド・サザビーズ(04 Limited Sazabys)が主催している「YON FES」のレポートをお届けします。読めばきっとすぐにでも音楽フェスに行きたくなるはず!

フォーリミ主催「YON FES 2024」雨の中で掛かった音楽の虹

フォー・リミテッド・サザビーズが彼らの地元である愛知県は愛・地球博記念公園(通称モリコロパーク)にて6月22日(土)、23日(日)の2日間に渡り「YON FES 2024」を開催した。2016年の初開催から今年で7回目となった「YON FES」。毎年4月に開催されていた「YON FES」だが今年は6月にお引越し。開催時期が2ヵ月違うだけで会場の空気感や装いに変化が起きるのは新しい発見でもあった。例えば雨。6月に引っ越ししたことで梅雨の洗礼を受けた今年の「YON FES」。開催までの数日、何度天気予報を見たことか。断念せざるを得なかった時期を超えて開催となった一昨年、昨年のYON FESでたくさんの仲間と一緒に反撃の狼煙を上げ、フェスという文化の完全復活を果たしたフォーリミ。そして迎えた今年の「YON FES」。雷マークの大荒れ模様のはずだった天気も、雨は降ったとはいえ大きな被害もなく無事開催、というか雨なんて気にならないほど目の前で起きた数々のドラマが「YON FES」を彩った2日間となった。

Photo:ヤオタケシ

初日である6月22日にはフォー・リミテッド・サザビーズ、ジ・オーラル・シガレッツ(THE ORAL CIGARETTES)、サバシスター、サウシードッグ(Saucy Dog)、リーガルリリー、ロットングラフティー(ROTTENGRAFFTY)、カナブーン(KANA-BOON)、マイヘアーイズバッド(My Hair is Bad)、シャンク(SHANK)、テンフィート(10-FEET)、エンス(ENTH)が出演。MCなしのノンストップ脳天ブローでキッズを狂乱させたジ・オーラル・シガレッツ、必殺ナメんじゃねーアティチュード「音楽が好き」をまとってピースを決めたサバシスター、積み重ねてきた日々を自分自身が信じることが大きな力を生むことを証明したサウシードッグ、自分だけのロックンロールを貫くことでオルタナティブな轟音を「YON FES」に吹かせたリーガルリリー、繰り返し巡る人生の中で金色のグラフティーを鳴り響かせ続けるロットングラフティー、フォーリミの救いの手に虎視眈々とここからガンガンと応えていく意思表示をしたカナブーン、雨雲を超え太陽すら超えた場所から言葉と音を「YON FES」に降り注いだ皆勤賞マイヘアーイズバッド、同じく「YON FES」皆勤賞の風格をフロアに叩きつけぐちゃぐちゃにしたシャンク、生きるということに命を懸けることを教えてくれた海のように大きく波のように優しいテンフィート、フォーリミとの絆を噛みしめながらバトンを受け取り繋いだ名古屋テキーラパンクポッセ、エンスと、合計10バンドがフォー・リミテッド・サザビーズに思いをぶつけるライブを展開。

トリのフォーリミはいきなりの「Buster call」でライブがスタート。ファンの間では「レア曲」と呼ばれライブの終盤やアンコールで演奏されることの多いこの曲をゲン(GEN)が歌い始めるとモリコロパークを歓声が包む。降り始めた雨すらステージを演出する。歓声の中の奇跡って今日みたいなことを言うのかもしれない。

Photo:ヤマダマサヒロ

「Fiction」のリフが鳴り響くと、騒々しい過去の残骸を飲み込んで帰ってきたメロウな世界を実感する。「Finder」や「Alien」といった攻撃モード全開ナンバーが続くことも今のフォーリミのモードを表しているように感じる。

Photo:ヤマダマサヒロ

位置についてヨーイドンで前に進めてきたこの数年は間違っていなかった。悩んで学んでここまできたことを「Now here, No where」を聴きながら考えて、「Cycle」ではひとつ乗り越えたらまた壁のある人生をそれでも先に進めようと繰り返し思う。それぞれいろんな時期の楽曲だけれどすべてが地続きだからフォーリミの楽曲をライブで観る時はいつもひとつの物語のように感じる。

Photo:ヤマダマサヒロ

「midnight cruising」「hello」を「YON FES」で観るのは少し特別に感じるから不思議だ。降り注ぐ雨が大気圏を突破した流星群のように感じるのだから音楽っておもしろい。「YON FES」で体感する「hello」の大合唱もやっぱりなぜか特別だったりする。出演者はスタイルも世代もバラバラ、「YON FES」に集まっているお客さんに関しては住んでいる場所も普段何をしているかもわからないけれど、僕らにはたったひとつだけの共通点として「YON FES」がある。

Photo:日吉”JP”純平

フォーリミから栄養を貰って、フォーリミに栄養を返して、そうやって一緒に生きている。メロディが彩る旅の中で出会った僕らは手つかずの未来に明日を描いて前に進んでいく。2019年に突発性難聴になった時の話をゲンが「YON FES」のステージでしたことだって、同じ時代を生きてきた仲間に対する信頼からだと思う。音楽って傷を抱きしめて優しく塞ぐ光だと思っているのだけれど、ゲンが自分自身の話を今このタイミングでステージからしたのは傷を人生の味として痛みを飲み込み鮮やかに生きていくこと、つまり歌い続けていくことを確信しているからだと思う。ラストは「Remember」「758」と初期衝動を爆発させて「YON FES」初日は幕を下ろした。

「YON FES」 2日目、6月23日はフォー・リミテッド・サザビーズ、クロスフェイス(Crossfaith)、プッシュプルポット、ゴーゴーバニラズ(go!go!vanillas)、チリビーンンズ(Chill Beans.)、オレンジ・レンジ(ORANGE RANGE)、ユア・ソング・イズ・グッド(YOUR SONG IS GOOD)、ハルカミライ、コトリ(KOTORI)、シム(SiM)、フォマレ(FOMARE)が出演。「前説のプロ」の異名を持つキートーク(KEYTALK)小野武正が「ぺいぺいぺーい!」とステージに登場しフォーリミとともに行った開幕宣言から始まったDAY.2。

フォーリミ、ゲン乱入で早いほうから重いほうへのモノリスつなぎで朝イチからやりたい放題のクロスフェイス、音楽で馬鹿みたいに笑うことが人生を救うことをその笑顔で示したプッシュプルポット、無敵の刺激的ロックンロールサーカスで心を撃ち抜いたゴーゴーバニラズ、全部脱ぎ捨てるシェキララで超グルービーに空気感を支配したチリビーンズ、「いいね快晴じゃん!」と言わせてくれないイケナイ太陽を引きずり降ろしてモリコロハニーとキリキリマイしちゃうオレンジ・レンジ、フォーリミ、ゲンを迎えて土砂降りのモリコロパークを南国にしたユア・ソング・イズ・グッド、この雨は花を咲かすための恵みの雨だと今日を丸ごと肯定したハルカミライ、この素晴らしい世界において最高な時は何度だって訪れることをそのステージをもって証言したコトリ、クロスフェイスのコイエ(Koie)乱入で地獄絵図を本当に地獄にしたお茶目な悪魔シム、当たり前だった毎日が戻ってきた今歌う愛する人や場所への想いを更新したフォマレと、合計10バンドの熱演を受けフォー・リミテッド・サザビーズがSKY STAGEに登場した。

Photo:日吉”JP”純平

雷と豪雨の中の「YON FES」を覚悟していたけれど、奇跡を起こすのが「YON FES」だしフォーリミだ。2日目のトリはもちろん、フォーリミ。「Milestone」を聴きながらモリコロパークを見渡す。この場所で7回目の「YON FES」。この数年、特にコロナが明けたことで「帰ってきたな」と思うようになった。モノクロの痛みの中に見えていたイメージは今手で触れることのできるほどはっきりと輪郭が見えている。帰ってくること、戻ってくることを約束した「message」が炸裂するとモリコロパークごと喜んでいるように感じるからおもしろい。「fade」「knife」と続くとあの頃止まりかけていた僕らの日常がドクドク鼓動が鳴っていることに気付く。僕らは、ライブハウスは、「YON FES」はもうとっくに動き出している。

Photo:日吉”JP”純平

フィクションは自分で作りたい。「Kitchen」でゲンが歌うその言葉こそが「YON FES」で起きているすべてだと思う。そうやってフォーリミが作ったフィクションを前に泳ぎたくなっちゃうんだから雨も悪くない。そう思わせてくれるのは僕らの絶対的「My HERO」の強さだと思う。耐えて耐えて超えてきた景色が目の前に広がる「YON FES」という場所。屋根裏の奥の引き出しを開くとそこに広がっている秘密基地がこんなにも広がっていること。「GalapagosⅡ」「Galapagos」と続くと感覚直通でドキドキしちゃうし、不思議したくて冒険したくてこうやって毎年「YON FES」に足を運んでいることをこれまた感覚直通ルートで再確認する。「Honey」「Squall」と今日のシチュエーションで聴くことでよりダイレクトに感情に訴えかけてくる曲を披露しステージを後にするフォーリミ。アンコールで披露した新曲はまだタイトルも決まっていないというが、聴きながら今はもう会うことのできない人の顔が浮かんだ。「そうか、あれが最後だったのか」と、年を重ねれば重ねるほどそう思うことも増えた気がする。でも人間は忘れる生き物だから、忘れたりたまに思い出したり、そうやってそのかけがえのない瞬間瞬間を生きている。そんなメッセージがこの新曲に込められていたと思う。そうやって人生を泳いでいく。

Photo:日吉”JP”純平

リュータが叫んだ「ピースとピースを足したらヨン!」という言葉が物すごくポジティブな矢となって心に突き刺さる。その強くつないだ手を離さないまま「swim」で大団円を迎えた「YON FES 2024」。予報では豪雨の中での開催を覚悟していたけれど、結果的に雨なんて少しも気にならなかった。想えばなんだって起きえる。奇跡が起きたのでなくて、「YON FES」が奇跡を起こしたのだと思う。音楽には、フォーリミには、そんな魔法があるのだ。

※ライブレポートは、日本コロンビアによるオフィシャルレポートを転載しております。