線香と和紙を使った作品に、絵の具を何層も重ねて作り上げる作品というオリジナルの技法と作品を堪能できる個展。2月10日(土)から原宿にある「ギャラリーコモン」で。




圧巻の作品の仕上がりにはキッズもびっくりするはず

アートには新しい発見がいっぱいだ。今回紹介したいのは、驚きの技法を使って作品を作り上げる市川孝典の個展「DELUSIONAL murmur(#003)」。期間は2月10日(土)から3月10日(日)まで、原宿にある「ギャラリーコモン(Gallery COMMON)」で開催。キッズはもちろんのこと、ダッズのあなたも驚き感動できるはず。

市川孝典は、主に紙を素材してメディウムとイメージ、実験的な技法を駆使して記憶の脆さと儚さを浮き彫りにすることで、移り行く世界の中で存在することの不安の表現を探求しているアーティスト。これまでに世界各国で作品を発表し、「シャネル(CHANEL)」や「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)」などといったトップブランドともコラボレーションをした経験を持つ。

市川孝典
13歳の時にニューヨークに移住してアメリカやヨーロッパを旅し、さまざまな建築、音楽、美術に出会ったことが、アーティスト・画家として独立するきっかけとなった。帰国後に代表作のひとつ、線香で和紙を焦がしてイメージを描く「Scorch Paintings (線香画)」シリーズを発表。その後もソーシャルメディアの画像を模した「Scrape Works」シリーズでは、同様のコンセプトから派生しつつも、絵の具を使い、レイヤー/スクレイピングのプロセスを用いることで、抽象的で掴みどころのない記憶の本質を、素材を通して表現する方法を探求し続けている。

今回の個展「DELUSIONAL murmur(#003)」では、温度や太さなどで60種以上の線香を使い分け、下書きなしで和紙を焦がしながら描く代表作である「Scorch Paintings(線香画)」シリーズや、絵の具を重ね、色の積層を削り落とすことで下層のイメージを浮かび上がらせる「Scrape Works」シリーズを発表する大規模な個展となっている。

本展の開催にあたり市川は、「古城に忍び込み泊まることを繰り返していた数ヶ月、毎日のように見ていた懐中電灯で照らされたヨーロッパの森。10代の不安や好奇心や葛藤を懐中電灯に照らされた森を通して描いている。忍び込んだ手付かずの古城の中では、もう使われていないシャンデリアを無意識に寝そべりながら 懐中電灯で照らしていた。そして祖父のコレクションの時計を何度もバラして、何度も組み直した。 動かない時計を作り出すのが好きだった。人の抜け殻のようなヴィンテージのジャケット。確かにそこにいた人の痕跡を辿って気配を感じて服を通して人を描いた。標本箱の昆虫やドライフラワー。永遠の美しさを手に入れた昆虫や花を作品に焼き付けて生を感じた。子どもの頃に住んでいたジャズクラブの屋根裏。演奏が始まると、寝ている私の横の壁に踊るように照らされていた管楽器の影。時が経って自分が経験した気になっている好きな音楽、映画、小説、漫画、写真、他者の作品、雑誌、ノイズの中に浮かび上がる映像などは私の偽りの記憶の体験として紙上に再現した。展示されてるこれらのモチーフは全部バラバラで時間的な脈絡はない。これらのモチーフのすべては、私が、そして鑑賞者の目の端でみていた何気ない日常に出会った 私だけが忘れても良い事柄なんだ」と、コメントを寄せる。

作品を見るとどのように作り上げたのか、どうやってここまで細かくできるんだろうと、いろいろと驚かされるはずだろう。アート好きでなくともキッズと一緒にぜひ足を運んで体感してほしい。キッズはキッズで新しい美術世界に足を踏み入れてみてはどうだろう。

■event information 「DELUSIONAL murmur(#003)」
日程:2月10日(土)〜3月10日(日)
時間:12:00〜19:00
会場:Gallery COMMON
住所:東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
入場料:無料
https://www.gallerycommon.com/ja